八
彼は、名船長の誉れが高い文則船長のご長男。そして、最近はその優宝丸の操船を一手に引き受ける、我々アングラーには頼もしくもある頼れる船長なのだ。
彼はおしゃべりな次男君とはまったく違って無口なな船長。いや、寡黙な船長。いや、全くしゃべらない船長だ。
しかし、その頑強なバールでもこじ開けることのできない口を、開かせるのが八丈小島フリークである渡船で釣りをするのが大好きな連中には、大きなステータスになる。
その本心はやさしく、細かい気遣いのある、彼の本音を言葉から聞くことのできるアングラーこそが、八丈島の釣りに精通した人間と呼ばれるだろう。
冗談はともかく、彼は本当に無口だが、やさしい船長である。そして今回も私が向けたカメラのレンズに快くVサインをしてくれた(いまどき古いなんて言わないでくれ)。
そして今回は、岡田先生と一緒に大型のオナガメジナを目指す。
岡田先生は横瀬と言ったが、パパ(私)は「こないだ60センチが釣れた小地根に行かない」と誘いを入れると快く(実はこれが間違いの元になる)。
とにかく一路八丈小島に。
小地根は素晴らしくロケーションが良い。八丈富士と三原山がそびえる本島が見渡せる場所だ。
ところが、開始早々からイスズミの猛攻。50センチに近いサイズも多く、結構面白いが、ここまで釣れると飽きが来る。
岡田先生は、35センチ位のオナガを釣っただけで午後1時にはご帰還。
残ったパパだが、結局その後も40センチクラスを2尾。とても持ち帰れるサイズではない。先生、水温が上がったとはいえ、小地根を薦めてゴメンナサイ。
水温が23度台まで上がったでしょうか、今年のオナガはオフシーズン突入ですね〜〜。
「ひろし君、来年もよろしくね〜〜」


潮が早く、50〜100メートル台の鯛などが少ない八丈島では、ラバージグは使いにくいと感じていた。
しかし、浅場で魚が食わない訳ではない。アカハタなどの根魚は驚くほど釣れる。ただ、これも活性の高い根魚は釣りすぎると枯渇する恐れがあり、高級魚だけに漁師さんとの兼ね合いもあって、この魚だけ釣らすと言う訳にはいかなかった。
そんな思案だったが、水温が低くオナガダイ、メダイ、キントキダイ、ハチビキ、などが浅場に群れると驚くほどの釣果がある。
先日も水温が17度台に下がって、大型の青物が活性しにくくなったときに、100〜150メートル台を攻めたら175グラムの鉄ジグにメダイが食いついてきた。
潮の流れもトロトロだったので100グラムのラバージグが届くかどうか?、太刀魚用のベイタックルで落としてみた。
PE1号にリーダーは40ポンドである。
ところが、この仕掛けにオナガダイとキントキダイが数尾食いついてきた。
なにしろ、通常では200メートル以深にいる高級魚だが、このタックルだとスリルがあって楽しい。
もう少し重い(せめて200グラム)のがあれば、通常のこれらが活性するゾーンを攻めることが出来て面白いだろうか。
いずれにしても、八丈島の新しい釣り、その可能性を見た感じである。
この時期になると、磯釣りが楽しい。
もちろんジギングも、キャステングも釣りは全てに楽しく、
まして、節操のない私だから、魚がいるところ何処でもだ。
ただ、高々遊びであるが、相手は生き物であり、
資源でもあるわけだから釣りすぎはしない。
まして、島でのガイド業であるから、お客様には釣っていただき、
楽しんでもらうが、その辺り自分では家族の胃袋分だけ持ち帰るのが良い。
昨日も、小島に磯釣りに行ってきた。
この時期は、尾長メジナのシーズン人であり、この釣りは、
コトノホカ楽しい。
そして、この日は今シーズン初めて50センチクラスを釣った。
(お正月明けからだと、夢の60センチオーバーをめざせ!!)
結構、苦労で、何しろシマアジガ群れて、メジナが少ないのだ。
1キロクラスのシマアジが餌取りと云うのも贅沢な話だが、
この状況だと、お客様は大喜びになる。
これからが盛期だが、パパズインは磯釣りのガイド、コーディネートも
(もちろん、初心者でも丁寧に)致します。
詳しい情報はパパズインのHPから http://www.papasinn.com/
動画もあります。
お問い合わせ、宿泊の申し込みは info@papasinn.com


私は音楽家である。
その音楽は20代のジャズバンド時代、30代のソウルバンド時代、40代の自分のオリジナル曲中心の時代、そして50代から今の演奏家をやめて作曲に専念している今では、その表現の中身や好んで聴く音楽がまったく違っている。
イワユル目指しているものが違うと、好みも変わり、聞く音楽も違ってしまうのだ。
それは釣りでも同じである。
長いこと釣りをやっていると、単に魚の種類が違うのはフィールドで変わってしまうが、釣りの嗜好そのものが違ってしまう。
まず、八丈島に来た頃は、それは島で出来る何の釣りでもやったが、それは好き嫌いではない。それぞれに面白さがあるのだから、それこそ嗜好の問題だ。
しかし、相手が生き物であり資源であることを考え、それは面白さだけではなく、将来永続的に楽しめることを思うようになると、自然相手の釣りであるだけに、その精神的までも考えるようになる。
ジギングと云うスポーツ感覚の釣りを覚えた。当初は、ラインを通して対象魚をダイレクトに体感できるために、楽しかった。
しかし、始まったばかりのこの釣りでは、細いラインで釣る為に大型はほとんど獲れなかった。それが、タックルの進化からある程度のサイズが獲れるようになると、もっと大型を狙うようになる。
その為にラインを太く、強靭なタックルで、より大型を目指すことがステータスになる。
この釣りでは、指導的な立場になると、若手のアングラーなどに、ブレークを嫌い釣れなくても大型を目指すことを教えた。
その為に、食わない釣りを嫌がらず、ブレークで無駄に魚を殺すことのないような、リーダー200ポンド以上というヘビータックルを奨めた。
たしかに、それでも食ってくるときはあるが、それでは明らかに食いが落ち、魚が少なくなってきた昨今では海況によっては全く釣れない日が続いてしまう。
それは、J−1などの大会であれば、数釣るよりも大型を目指してほしいが、一般の来島のアングラーには、このジギングを楽しんでもらいたい気持ちも大きい。
そんな考えから、ライトタックルも悪くないと思うようになっていた。
特に、最近のラバージグやインチクの流行もあってPE1号でやることで、今までジギングのターゲットではなかった、メダイやハチビキ、オナガダイ、なども釣れるようになる。
これはジギングの対象魚を増やし、そのファン、間口を広げる意味でも良いことかもしれない。
この数年で、そんな柔軟な思考に変わってきたことは確かである。
先日も、今は10キロサイズのキハダマグロが上限であることを見切って、PE2号でパヤオゲームをやった。
キハダやカツオの2〜3キロを釣ったのだが、その後でカンパチジギングに挑んだところ、10キロ強の丸々したカンパチを釣った。
PE2号、リーダー60ポンドであれば、島では厳しいサイズだが釣り上げた。
今までの私であれば、若いアングラーには奨める釣りではなかったが、今はこういった釣りも楽しいと感じている。
無駄に魚を殺してはいけないが、スリルのある釣りは楽しい。
音楽同様に、釣りの思考が変わったと言いうことだ。

来島するアングラによく聞かれるのは、「カンパチとヒラマサ、どちらが美味しいですか?」である。
島の漁師たちは、カンパチの方が浜値が高いので、当然にカンパチと言うだだろう。それは、カンパチの方が丸々で大型が多く、細身のヒラマサは脂の乗りが少ないうえに、幾分パサパサしているからだ。
しかし、日本海や外房では違う、カンパチは小型が多く、それに比べヒラマサは脂の乗りも良い。八丈島で食べるヒラマサとは明らかに味が違うのだ。
一昨日も13キロのヒラマサを釣ったのだが、船長の潤ちゃんは「なんだ〜、ヒラマサか〜」と、明らかに差別した言い方だ。
島の漁師たちも日本海や外房のヒラマサを食べたら、こうは言わないだろう。アメリカでは差別を乗り越え、オバマさんが新大統領になった(全く関係ない話だが・・・)。
魚を差別してはイケナイね〜〜。


今回、思ってなかったほどの反響を頂いた100キロオーバーのクロマグロだが、ジギングを愛するアングラーから見れば垂涎だろうか。しかし、よほどの運が強かったと思うのが本音で、その気持ちが大半であるから、メーカー、釣具店、アングラー、そして手前味噌過ぎるが女房殿、多くの友人たちのに感謝の気持ちが大きい、それ以外には頭に浮かばないのだ。
高々釣りであるから、それほど大騒ぎすることもないとも思っていたし、ちょっと気恥ずかしかったので、自分でもどんな対応して良いのか判らなかった。それでも年齢的には爺様だから、今はこの巨魚にファイトした9時間15分を冷静に見つめ、真摯な気持ちで、今後も励みたいと思っている。
ただ、このクロマグロは私の中でクライマックスではない。と言うのは、この後で島で釣ったカンパチの18キロは、また別に深い思いがあるのだ。
と言うのは、毎年20キロを超えるカンパチを数尾釣る私だが、実を言うと昨年は15キロを超えるカンパチすら釣っていないのだ。だから、いきなりマグロの100キロオーバーよりはカンパチへのコダワリもあって、何といってよいか・・・。そして、運が残っていたのか、島に戻って翌日の釣りで18キロのカンパチを、釣ってしまったのだから、それもあっさりと、なのだ(これこそ運だろう)。
ここで思ったのは、魚はサイズでないと言うことだ。その魚に対しての思い入れが大事で、たとえ小さくても、その思い入れが大きければ、それは10キロが20キロにもなるし100キロにもなる。サイズにこだわると本当の釣りを見失うこともあるのと云うことだ。
これは、100キロオーバーの魚を目指しているアングラーには失礼になるので、私だけの偏った意見として申すが、釣りの楽しさはサイズもあるが、それだけではない。大事なのは釣りたいと思う魚に対しての心なのだ。
島に戻って、傷んだ体を癒す以上に、ジギングをしたい気持ちが強かった。であるから、心を奮い立たせ釣りに出た。そして目指す20キロオーバーではなかったが、それでも18キロのカンパチは納得であった。
確かにマグロに比べれば6分の一程度の魚だが、それでもステータスは大きい。たしかに私の体を痛めるほどの力ではなかったが、それでも釣れ上がった魚体の美しさは心に深く刻み込まれた。釣りは種類が多いだけに、それぞれに楽しみがある。だからこそ、魚はサイズではない。

青森県竜飛沖。あの潮の早い中で良く獲れたものです。しかし、人生の中で一度あるかないかの出来事ですが、過去にはトローリングやエサ釣りなど、他の釣り方で100キロ近く、それ以上の巨魚を、多く釣り上げ、殺してきたことになります。
今回の113.6キロは勿論、メタルジグを使ったジギングとしては最大のものですが、その大きさほどに命の重さも考えるとあまり自慢げにはしたくはないです(その割にアッチコッチのメディアに載り、後ろめたい気にもなります)。むしろ、海鵬丸船長の小川さん。まるで老人介護のように(笑)、口におにぎり放り込み、お茶やポカリスウィットを飲ませてくれたノリちゃん(高森氏)に感謝するところが大きいのです。
確かに9時間15分、一人だけでやり通したファイテングタイムですが、彼らの励ましとサポートがなければ出来るものではないです。釣りも、これだけの大型になれば個人技ではなくチームプレイです。本当に一人では何もできなかったでしょう。
さらに、多少でも私のような老人アングラーをサポートしてくれている、ネーチャーボーイズ、ダイワ精工、アングラーズリパブリック、バリバス、スタジオオーシャンマーク、ティールウォーク、のメーカー各位や、応援していただくメディア。
ソルトワールド誌、ソルティー誌、ソルトウォーターマガジン誌、さらに釣りビジョン。そして八丈島パパズインのお客様。背中を押してくれるファンの皆様、更に私のクラブキッドナッパーズメンバー。多くの友人たちに、感謝の気持ちをこめてお礼を申し上げます。
私は63歳と6か月、そろそろ後期医療制度のお世話に(笑)なる年齢に近く、引退間近かも知れませんが、これからも頭を低く慢心せずに、精進していきたいと思っています。
パパ拝。